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毛利 悠子 | ただし抵抗はあるものとする

毛利悠子(1980年神奈川県生まれ)は、展示空間全体を作品に変える<インスタレーション>という手法で創作活動を行なってきました。その作品はハタキやスプーン、空き缶など、私たちが日常生活で目にするものを使い、電気や磁力、空気の動きなど、普段は目に見えないエネルギーの存在を明るみに出します。不思議な動きを見せる毛利の作品に接すると、まるでモノたちが、生き物のように呼吸をしているような—時には人間を超越した大きな力がそのモノたちに触れているような、そんな感覚に陥ります。

毛利は今回、アンモナイトからケーブルのより線など、さまざまなレベルで見られる渦や回転、あるいは螺旋の運動からインスピレーションを得て、音響を使った大規模な新作彫刻を展示します。それは天体の運行という大きな力や、社会が大きく動いていく時の様相をも象徴的に表わしています。

他にも、映像、版画、そして現場の中に即興で生み出されるインスタレーションを通し、国内外で多くの観客を魅了してきた毛利悠子の芸術世界をご覧いただきます。


作家メッセージ

先日、十和田湖から奥入瀬渓流を徒歩で散策した。約20万年前の噴火でできた屏風状の崖から落ちた岩が、川の流れや滝を遮るようにゴロゴロしていた。岩には鮮やかな緑色の苔がびっしりと生え、樹木やキノコも育っている。どう見ても静止しているようなその岩は、しかしガイドさんによると、何百年もかけて今も転がりつづけている状態なのだという。超スローモーションで再生されるライク・ア・ローリング・ストーン! 岩は、毎秒5.2トン流れる水と抵抗することで、細やかな水の泡を生み出していた。

十和田市現代美術館で開かれる「ただし抵抗はあるものとする」展は、光栄なことに、私にとって美術館でのはじめての個展になる。私はこれまで、流動的な状態を抽出し、動きとエネルギーについての作品を制作してきた。ここでは、螺旋や回転体にフォーカスした新作を作る予定だ。

近現代美術史をたどれば、デュシャン《階段を降りる裸体》、タトリン《第三インターナショナル・タワー》、スミッソン《スパイラル・ジェッティ》、あるいはトニー・クラッグの彫刻など、多くの作品に螺旋や回転体が表現されている。彼ら表現者は動きとエネルギーについて考えてきたのではないか、そして彼らの表現は今も転がりつづけている状態なのではないか。この展覧会は、その延長線上にある一つの問いになればと望んでいます。

アーティスト
毛利 悠子
会場
十和田現代美術館
公式サイト
十和田現代美術館 | 毛利悠子 ただし抵抗はあるものとする

サムネイル写真 : 《墓の中に閉じ込めたのなら、せめて墓なみに静かにしてくれ for V.T. 》展示風景, 2018年, 撮影:小山田邦哉

テキスト
十和田現代美術館ウェブサイトより引用