石の声を聴く

【展覧観測|石の声を聴く】
この度、展覧会アーカイブプロジェクトART360°とVOICE GALLERY pfs/wの共催により、黒川 岳「石の声を聴く」を開催致します。

黒川は、音を探求する過程で、自然や都市、社会などの外部環境と自らの身体との接触を通して表れる形や所作にその本質を見出しました。彫刻、インスタレーション、音楽、パフォーマンスと、形式にとらわれない黒川の活動は、音響体験という無形の彫刻そのものを捉えようとする試みと考えられます


【展覧会開催にあたって】
この展示には、ふたつの展覧会が共存しています。
ひとつは、弊ギャラリー主催「美術考古forgotten object / remembered things」。
もうひとつは、ART360°との共催「石の声を聴く」(黒川岳)です。 
「美術考古」では、4人の出展者が事物や時間と対峙する方法を示します。
西村勇人は、現代人の暮らしと一見無関係なように存在している古墳の姿を探し当て、互いが風景をつくる様子を写真に記録しています。
山本晃久は、和鏡・神鏡・魔境を製作する過程で偶然に生まれるモノを磨いて輝きを与え、名付けます。また、通常は廃棄する鋳造の傷んだ道具類を什器として使用しました。
考古学者:中村大と金物店主・美術作家の古川勝也は、使い道や使い方が不明なモノ、あるいは暮らしから消えた道具と縄文土器片や石などの素材を対比させ、100点あまりの出展物を混在させます。道具類に着想を得た古川の美術作品も混入します。 

「石の声を聴く」は、展覧会アーカイブプロジェクトART360°による <展覧観測> の一環です。約2トンの石を車両から降ろし公道を運び、シンプルな道具と人力で設営するプロセスの詳細な映像記録も目的とする展示です。黒川岳の作品は、身体的な体験をうながす装置でもあります。 
当初、無関係に企画されたふたつの展覧会には、1万年単位、千年単位、百年単位という、膨大な時への関心という共通点がありました。出展者がそれぞれに、未知の事物から、物語を引き出す試みです。展覧会が展覧会を内包して風景をつくるという試みでもあります。(ヴォイスギャラリー)

協力:TSギャラリー、立命館大学