遠距離現在 Universal / Remote

現代美術が観測した、個人と社会の距離感

20世紀後半以降、人、資本、情報の移動は世界規模に広がりました。2010年代から本格化したスマートデバイスの普及とともに、オーバーツーリズム、生産コストと環境負担の途上国への転嫁、情報格差など、グローバルな移動に伴う問題を抱えたまま、私たちは2020年代を迎えました。そして、2020年に始まった国境のないパンデミックにより、人の移動が不意に停止されたものの、資本と情報の移動が止まる気配はありませんでした。かえって、資本や情報の本当の姿が見えてくるようになったと思えます。豊かさと貧しさ。強さと弱さ。私たちの世界のいびつな姿はますます露骨に、あらわになるようです。
 展覧会タイトル「遠距離現在 Universal / Remote」は、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況を踏まえたものです。監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、また人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、あるいはポストコロナ時代の世界と真摯に向き合っているようにも見えます。本展は、「Pan- の規模で拡大し続ける社会」、「リモート化する個人」を軸に、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方について取り組んだ8名と1組の作品をご紹介します。

アーティスト
井田大介 シュ・ビン トレヴァー・パグレン ヒト・シュタイエル、ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ミロス・トラキロヴィチ 地主麻衣子 ティナ・エングホフ チャ・ジェミン エヴァン・ロス 木浦奈津子
主催
広島市現代美術館
後援
広島県、広島市教育委員会、中国新聞社、朝日新聞広島総局、毎日新聞広島支局、 読売新聞広島総局、NHK広島放送局、中国放送、テレビ新広島、広島テレビ、 広島ホームテレビ、広島エフエム放送、尾道エフエム放送
企画協力
国立新美術館
会場
広島市現代美術館
公式サイト
遠距離現在 Universal / Remote

「遠距離現在 Universal / Remote」広島市現代美術館 展示風景 撮影 : 伊東良隆