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林 智子 | 虹の再織

「林 智子|虹の再織」は、公益財団法人 西枝財団が行う「若手創造者支援・助成事業」として開催された。

歴史的景観が広がる京都、上賀茂地区に佇む瑞雲庵。この茶室や蔵、美しい前栽が残された邸宅を舞台に、美術家・林智子(1980-)の個展を開催します。

京都で染織を学んだ林は、これまで人と人との間に生まれる普遍的な感情をテーマに、時には先端的なテクノロジーを用いて、身体性を介在させた作品を発表してきました。国内外での制作を経て京都に戻った林は、豊かな自然と古い歴史に触れ、それらとの交感によって生じる多様な関係性を手がかりに、自己の在り方に向き合うようになります。

本展で林は、祖父が遺した日記を辿りながら、現在も火山活動を続ける阿蘇山の熱現象観測、京都で絶滅が危惧される植物や植物園で咲く共進化を果たした花々、氷河期の生命を孕む深泥池、賀茂川の歴史を宿す石、彼女に影響を与える華厳思想を着想源に、写真やテキスタイル、フレグランスやインタラクティヴ作品によるインスタレーションなどの新作を展示し、悠久の自然のなかで明滅する生命の律動、人間の営為や創造的行為について思考します。

かつて詩人のジョン・キーツは、ニュートンが光のスペクトルを発見したことに対して、虹をほどいて、ばらばらにし、詩情とその美しさを失わせたと嘆きました。このほどかれた虹を再び織ることはできないでしょうか。林は自然、科学、芸術、思想など多様な領域を独自の視点で再編し、それらをコズミックな織物として提示することを試みます。

新しい虹が表れた時、あなたは世界とどのような関係をむすぶのでしょうか。

アーティスト
林 智子
主催
「林 智子 Reweaving the rainbow」展実行委員会
助成
公益財団法人西枝財団、公益財団法人全国税理士共栄会文化財団
特別協賛
塩野香料株式会社
協力
京都府立植物園、京都大学火山研究センター、 京都大学防災研究所、京都大学理学研究科 測地学研究室、深泥池水生生物研究会、公益財団法人京都市都市緑化協会、ハムズオフィス、京都精華大学芸術学部芸術研究科、京都芸術大学アートプロデュース学科、神戸大学美術史研究室、Delta Blues Audio
企画
芦田彩葵
会場
瑞雲庵
公式サイト
林 智子 虹の再織|西枝財団公式ウェブサイト

サムネイル写真 : 多田 雅輝