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石川 直樹 | この星の光の地図を写す

写真によって、新たな地図を浮かび上がらせる

世界をフィールドに活躍する写真家、石川直樹による東京での初の大規模個展です。

弱冠22歳で北極から南極までを人力で踏破、23歳で七大陸最高峰の登頂に成功した石川は、その後も世界各地を縦横に旅して撮影を続けています。人類学や民俗学などの視点を取り入れた独自のスタイルによる写真は、見慣れた日常や世界の中に在る未知の沃野へと、わたしたちを導きます。

本展では、北極、南極、ヒマラヤの8000m峰といった極地を撮影した各シリーズ、各地に残る先史時代の壁画を訪ねた『NEW DIMENSION』、ニュージーランドの原生林を撮影した『THE VOID』、ポリネシア地域に浮かぶ島々を星に導かれるように巡った『CORONA』、そして日本列島の南北に広がる島々を探索する『ARCHIPELAGO』など、石川の初期から現在にいたるまでの活動を、写真と映像作品のほか、石川が実際に使用してきた道具なども含めて、幅広く紹介していきます。

地球を見つめ直す

石川が一貫して関心を寄せるのは、地球上のあらゆる場所に古くから伝わる生きるための「技術=叡智」であり、国境などの区分では捉えきれない各地の有機的なネットワークの有り様です。石川の目と足による縦横な探求は、文化人類学的なフィールドワークであると同時に、もともと「技術」という意味を語源にもつ「アート」を追求する果てしない旅ともいえるでしょう。

北極圏や南極大陸、ポリネシア・トライアングルや列島の南北に位置する群島、独立峰としての富士山や登頂が極めて難しいとされるカラコルムの高峰K2など、石川が身をもって知覚してきた光景を道標として、旅の軌跡をたどるように会場を歩き、石川が提示する新たな地図を体感することができます。地政学的な区分によらない各地のつながりや文化の姿は、この地球という星をオルタナティブな視点から見つめ直す契機となるでしょう。

石川直樹の部屋

石川直樹が遠征の際に携行し使用した装備や道具、旅先で手に入れたさまざまなモノを展示し、石川の活動の知られざる裏側を紹介します。また。少年時代の貴重な写真や、高校時代に一人で初めてインドを旅行した際の写真などから、写真家・石川直樹の生い立ちや原点が垣間見られることでしょう。さらに、2004年に熱気球による太平洋横断に挑戦して海上に着水し、波にのまれたゴンドラとともに漂着した品々も展示します。