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菅 木志雄 | 広げられた自空

菅木志雄は、60年代末〜70年代にかけて起きた芸術運動「もの派」の主要メンバーであり、同時代を生きる戦後日本美術を代表するアーティストとして、独自の地平を切り開いてきました。インド哲学などの東洋的思想に共鳴した自身の哲学を基に、石や木、金属といった「もの」同士や、空間、人との関係性に対して様々なアプローチをしかけ、「もの」の持つ存在の深淵を顕在化すべく作品制作をしています。「もの派」への再評価が確固たるものになった今日もなお菅はその思考を深化させ、尽きる事のない制作への情熱が、作品の現在性を生んでいると言えるでしょう。

本展「広げられた自空」は、小山登美夫ギャラリーでの個展として2017年「分けられた指空性」以来7度目の開催となり、最新作約20点を発表致します。

また、同時期に8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryにて「菅 木志雄 – 写真と映像」(5月30日〜6月25日)を開催し、写真と映像作品、アクティヴェイションのドキュメント映像を展示。菅が監督、脚本を務めた映画「存在と殺人」(1988-99年制作)の上映もあわせて行われ、GINZA SIXにあるアートギャラリー「THE CLUB」においても、個展「放たれた縁在」(5月12日〜7月4日)で金属の立体作品を展示することになりました。

菅は通常見るものの在り方とは異なる方法で「もの」と「もの」、「もの」と「場」、「もの」と「人」をつなぎ、囲い、相互依存させ、まるでものが新たな形や状況まで立ち現わしているように感じさせます。そうした「見えないもの」を表わすべく立体、平面、写真、映像と様々な手法を用いて多角的に、根源的な世界の在り方を抽出しようとします。これらの展覧会は、菅の作品世界を包括的に体験いただける、大変貴重な機会となるでしょう。

アーティスト
菅 木志雄
会場
小山登美夫ギャラリー
公式サイト
小山登美夫ギャラリー - 菅 木志雄「広げられた自空」

サムネイル写真 : 菅 木志雄展「広げられた自空」展示風景画像、小山登美夫ギャラリー、東京、2018年、©Kishio Suga, photo by Kenji Takahashi

テキスト
小山登美夫ギャラリーより引用