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ス・シャオバイ | 無時無刻─いつ、いかなる時も─

蘇は中国の歴史ある素材「生漆」を生かした実験的な制作方法を駆使しながら、アートという言葉をもってマテリアルと絵画との対話を引き出しています。時の積み重ねによって生まれたレイヤーとマチエールは、蘇の構想という下地の表れであり、“裏衣(衣を纏う)” や “脱胎(生まれ変わる)” といった創作のプロセスをも示しています。言い換えれば、物質たるものが自然の変化に順応するなかで、生成していくそのランダム性や自由を露わにしているのです。蘇は「抽象画のなかに丁寧に封じ込めてしまうものこそ、私が伝えたい内容である」と語っています。古代漆器の制作過程の一環、麻を用いた布着せという技法に深く魅了された蘇は、一層一層重ねいく特殊な工程を通して、色彩の原始的な様態を表し、物自体が持つイメージの質をもえぐり出していきます。それは材料に人為的な主観概念を付与した美学とは異なります。

本展のタイトル “無時無刻(And there’s nothing I can do)” とは、反芻し、温め、構想するといった一連の創作プロセスを表わしています。作家にとって何かを制作するとは、単にアトリエの中で行われる営みではなく、また創作というのも、顔料をただ塗り重ね、仕上げていくことではありません。思考の熟成に要した長い歳月と、漆が持つ物質的特性をも内包しています。「私に出来ることは何もない、ありとあらゆる手を尽くした。いつ、いかなる時も、どんな時でも、私がクリエイトしているのは、ただの一つの状態でしかない」と本人は言います。また、本展の展示空間設計は、かつて安藤忠雄建築研究所に勤めた豊田啓介率いる、建築事務所noizによるものです。2014 年、2016 年のタイアップに続き、今回も兵庫県立美術館という空間のなかで、素材と対話するアートが繰り広げられることでしょう。

展覧会紹介ムービー

アーティスト
蘇笑柏(ス・シャオバイ)
会場
兵庫県立美術館

サムネイル写真 : Courtesy the artist and Tina Keng Gallery, Taipei/Beijing.