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田中保

埼玉県南埼玉郡岩槻町(現・さいたま市岩槻区)に生まれる。生家は岩槻藩主大岡家に代々仕え、父は金融業を営んでいた。恵まれた環境で育ったが、3年生の時に父が急逝して家族離散となった。1904年、中学を卒業後、横浜から単身シアトルに渡る。1908年頃から独学で絵画の勉強を始める。1912年頃にはフォッコ・タダマの画塾に学んでおり、1913年には清水登之と知り合う。1915年にはタダマの画塾で指導に当たる傍ら、自らの画塾も開いた。1916年の第1回日本人美術協会展に出品。同展には清水登之、野村賢次郎らも出品していた。
1920年、渡仏。翌年から継続的にサロン・ナショナルやサロン・ドートンヌ、サロン・デ・ザンデパンダン等に出品。1924年、第5回帝展(帝国美術院展覧会)に2作品を送るが落選。日本での展示機会には恵まれなかったものの、同年、松方幸次郎が作品買い上げ、松方コレクションに入る。日本人がすっかり帰国してしまった戦時下のフランスにとどまるが、1941年パリにて没。

田中保《キュビスムの裸婦》 :
1915年 油彩 ボード 埼玉県立近代美術館蔵