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竹久夢二

岡山県邑久郡本庄村(現・瀬戸内市)生まれ。本名・茂次郎。1901年に18歳で上京。早稲田実業学校在学中より雑誌へ投稿し、コマ絵や挿絵を数多く発表して好評を得る。儚さと哀愁をたたえた「夢二式美人画」は人気を博した。1914年に、版画や千代紙、半襟や帯などを扱う「港屋絵草紙店」を開店して、生活と美術を結びつけることを試み、デザイン分野にも力を注いだ。1923年に「どんたく図案社」を設立しようとするも関東大震災で立ち消えになる。1931年から渡米、さらにヨーロッパを巡って1933年に帰国。翌年、結核により死去。
アメリカ西海岸滞在時の竹久の活動を支え、作品を購入したのは当地在住の日本人たちである。ポイント・ロボスにてアワビ漁をはじめ、成功した千葉県出身の小谷源之助は、小圃千浦や幸徳死影(幸衛)らを迎え入れたが、竹久もまた1931年8月から約3ヶ月小谷家に滞在している。ロサンゼルス在住の写真家・宮武東洋は、日本から届く『夢二画集』などですでに竹久の諸作に親しんでいたが、彼も竹久のポートレイトを撮影し、《西海岸の裸婦》(夢二郷土美術館蔵)を所蔵するなど交流を持った。

竹久夢二《花衣》 :
1931–32年 油彩、キャンバス 全米日系人博物館蔵