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ヘンリー杉本

和歌山県海草郡湊村(現・和歌山市)に生まれる。本名・謙。幼い頃に両親が渡米したため、祖父母のもとで育つ。1919年、両親に呼ばれてカリフォリニアのハンフォードに渡る。高校卒業後、オークランドのカリフォルニア美術工芸学校に入学、1928年からはサンフランシスコのカリフォルニア美術学校に学んだ。
1929年、パリに留学。藤岡昇や藤田嗣治らとも交流し、アカデミー・コラロッシに通う。1931年のサロン・ドートンヌに入選。1932年にカリフォルニアに戻り、翌年にはカリフォルニア・パレス・オブ・リージョン・オブ・オナーで個展が開かれた。1930年代中頃には、ヨセミテやカーメルへとスケッチ旅行に出掛けて、また1939年にはメキシコに滞在し、ディエゴ・リベラらの壁画にも影響を受けた。
第二次世界大戦が勃発するとフレズノ集合所に、その後アーカンソー州のジェロームからローワーに収容された。収容所内の生活を描いた作品は、戦後、日系人収容の証言となる。終戦後はニューヨークへと移る。1962年、パリに1年滞在後、日本にも帰郷し、1964年まで滞在。この間、二科展へも出品した。郷里の和歌山市役所に壁画を制作。この時持ち帰った収容所絵画の多くは現在、和歌山市立博物館の所蔵となっている。2007年、和歌山市偉人・先人顕彰。

ヘンリー杉本《食堂》 :
制作年不詳 油彩 キャンバス 和歌山市立博物館蔵(作者寄贈)