久保田 成子
1937年新潟県西蒲原郡巻町生まれ、2015年ニューヨークにて没。1960年に東京教育大学を卒業し、東京でオノ・ヨーコをはじめ、グループ音楽やハイレッド・センターといった前衛芸術家たちと交流。1963年に内科画廊で個展を開催するも、翌年、フルクサスに参加するために渡米し、マルチプルやパフォーマンスによる作品を発表する。1970年頃からはヴィデオを使った作品の制作に着手し、70年代半ばには映像と立体構造を組み合わせた「ヴィデオ彫刻」によって現代美術家として頭角を現す。とりわけマルセル・デュシャンへのオマージュ作品「デュシャンピアナ」のシリーズで多くの注目を集め、同シリーズの《階段を降りる裸体》はニューヨーク近代美術館に収蔵された初めてのヴィデオ・インスタレーションとなった。
1977年のドクメンタ6以降、ヴェネツィア・ビエンナーレなど様々な国際展に招待され、また1991年から93年にかけて開催された美術館での初個展は、アメリカを皮切りにヨーロッパや日本に国際巡回。1995年には日本人として初めてマヤ・デレン賞を受賞するが、1996年以降は夫ナムジュン・パイクの介護に専念し、その後は自身の闘病生活のため制作活動は停滞した。2015年には作家の遺志により「久保田成子ヴィデオ・アート財団」が設立され、作品や資料の保存・修復が可能となった。2021年3月より没後初の大規模個展が新潟・大阪・東京を巡回、また同年8月にはニューヨーク近代美術館でも個展が開催されるなど、再評価が進んでいる。
- サムネイル写真 :
- Mary Lucier, Shigeko Kubota with Her Video Poem, 1975 Mary Lucier © 1975
- テキスト :
- 新潟県立近代美術館 主任学芸員 濱田 真由美