Artists

菅野 聖子

1933年、宮城県仙台市生まれ。1988年没。
具体美術協会在籍期間:1968-1972

 菅野聖子の実践は、ジャンル横断的である。中学生の頃から始めた絵画に加え、詩、音楽、宗教、哲学、数学、物理学、等々と、その関心領域は広い。とりわけ詩作は、絵画と同じく重要で、菅野は一時期、詩人の新國誠一が主催する研究会に参加し、独自のコンクリート・ポエトリー(具体詩)を追求していた。
 具体との接点は1964年、結婚して神戸に移り住んだ際、吉原治良に「思い余って絵を見てもらいに」行ったことをきっかけとする。自らの「アンフォルメル」を乗り越えるため、烏口を使って描かれたその碁盤の目のような画面は、しかし法則的に生じるズレや重なりゆえに、リズミカルな印象を与えるだろう。画面を統べる「構造」それ自体への関心が、菅野の絵画を特徴づけている。