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小圃千浦

岡山県後月郡井原町(現・井原市井原町)に生まれる。本名・佐藤藏六。7歳から日本画を学び、1899年には14歳で上京、大政奉還の図で知られる邨田丹陵に学んだ。1903年に渡米、1912年、華道家の小橋春子と結婚。この頃にはすでにサンフランシスコの邦字新聞に挿絵を寄せており、1915年から27年までは東洋汽船会社の『ジャパン』誌で挿絵画家を務めた。1921年の東西芸術協会設立にあたって、彦山禎吉、日比松三郎とともに、中心的に活動する。1927年に出かけたヨセミテ渓谷への制作旅行が表現面でも職業面でも大きな転機となった。日本で尋常小学校を出ただけの小圃であったが、日本画の実力が評判となり、カリフォルニア大学バークレー校の講師職を得た。1928年、父の急逝により一時帰国した際、ヨセミテほかアメリカでの代表的な風景作品を35点シリーズの木版画にして、高見澤木版社より出版。第二次大戦中ははじめタンフォラン集合所に収容されたが、収容後25日で美術教室を開講、トパーズに移ってからも継続した。収容所内で他の収容者から暴力を受け、終戦を待たず、1943年に収容所から出て、セントルイスの商業美術会社に勤めた。1945年にカリフォルニア大学バークレー校に復職。1954年アメリカに帰化。

小圃千浦《イーグル・ピークの小道—カリフォルニア州ヨセミテ》 :
1930年 木版 紙 全米日系人博物館蔵