Artists

青木年雄

横浜に生まれる。号瓢斎。19世紀から20世紀にかけてのアメリカで、富裕層に受け入れられ最も「成功した」日本人画家である。1880年頃、サンフランシスコで日本雑貨販売を行うディーキン・ブラザーズに雇われて渡米。販売用商品製作に従事するも、ほどなくして新聞の挿絵画家としても活躍し始める。1885年、青木はパサデナに移り住み、のちに東洋趣味の雑貨店を興すG. T.マーシュと組んで日本画の実演を行う。そのエキゾチックさで人気を集めてアメリカ全土に顧客を有したが、長く青木に押し付けられてきた実演を伴う大道芸人的な扱いや、あるいは異人種に対するエキゾチシズムに支えられた評価、さらには日本が思い描くハイアートとのギャップは、ジャポニスム需要に内面化された日本と欧米の捻れた精神的格差として、さらなる議論が必要である。

青木年雄《インディアンバスケットの柿》 :
1895年 油彩、キャンバス スタンフォード大学カンターアートセンター蔵